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続・狸ひろ、ついに登場する

リアルひろです。こんばんは。

グレイさんは、隠し子ではないかと思っているようですが、どういうふうに展開することやら…。というか、最近、訪問者数が少ないので、ちょっと変わった話をしてみようというのが本音ですが(苦笑

話は龍ひろ、獅子ひろ、狸ひろの3人がそろったところからですね。それでは、続きです。


まだ牛ひろは帰ってこない。よほど落ち葉掘りに時間がかかっているようだ。それは当然だろう。落ち葉を地下何十メートルから掘り出そうというのだ。現実世界なら、きっとその落ち葉は腐っているに違いない。いや、形すらないだろう。そう考えるなら、鉱山から落ち葉がでるのは、太古の植物の化石と考えた方がいいかもしれない。そうなるとポプリが寝るためにしく葉っぱという説明とあわないけれども。実際そのころ、牛ひろはテントで何が起きているか何も知らずに、プレシャスジュエリー鉱山で上級タンタルを掘り当てようとしていた。しかし、次々と地下200mから出土する落ち葉の大群に嫌気がさしてきていた。

さて、話を戻そう。メガロポリス広場の片隅に設営されたひろテントの中。3人がテーブルを囲んでいた。龍ひろは、3人分の紅茶を入れている。その白くて、どこか少女趣味なカップには、夢葉が浮いていた。クエスト品をそんなふうに使っていいのかわからないが、今時期しか味わえないものだ。どうやら狸ひろのおみやげというのが、これのことらしい。

「おいしいですね。」

文字の大きさは声の大きさに比例するとして、さっそく出てきた紅茶に手をつけたのは狸ひろ。あいかわらずの大声だ。いったい誰に聞かせたいというのだろうと思うほどの大声だから、困ったものだ。

獅子ひろは、ほおづえをしてそっぽを向いたまま無言だ。珍しい紅茶にも無関心だ。龍ひろに言われて、嫌々座ってるようだ。

「そうでしょう? 夢葉は独特の風味がありますよねぇ。」

龍ひろは、いつもと同じように落ち着いて話している。

「しかし、JAL労組はとんでもないことをしましたよね。客室乗務員の氏名や住所の基礎情報のほかに、思想信条や家庭環境、容姿、個人の病歴とか、そんなものをファイルにしていたというんですよ。」

「とってもひどいことです。ねぇ、お兄ちゃん!」

このよい子の正解というか、堅すぎるような物言いが狸ひろの特徴なのだろう。どうやら狸ひろは獅子ひろに問いかけたらしいが、当然獅子ひろは返事をしなかった。いや、それ以上に、獅子ひろのイライラを増幅させた。

「そのファイル作成には会社も一役買っていたそうですから、これはプライバシーを無視して、客室乗務員が構成した日本航空キャビンクルーユニオンへの挑戦ですね。完全に仕組まれた不当労働行為ですよ。」

「そうです。お兄ちゃん!」

龍ひろがしゃべり、狸ひろが相づちを打つ。この2人の間で決まっているやりとりのようだ。

「なぁ、そんな話を聞くために紅茶入れてもらってる訳じゃないんだろうな?」

ついに獅子ひろがたまった物をはき出すように間に割って入った。

「そんな話とは何ですか…。とっても大事なことですよ。珍しくテレビでも報道されているでしょう?」

確かにこういう話はニュースになりにくいが、今回ばかりは内容がひどすぎるためかテレビや新聞でも報道されていた。龍ひろが話題に出す話としては、珍しく一般人の取り上げる話なのだ。

「いや、まずこいつのことを話してくれよ!」

獅子ひろはガタンと椅子から立ち上がって、狸ひろを指さした。沈黙が数秒流れた。龍ひろは、ゆっくりと紅茶をすすった。そして、ゆっくりとカップをテーブルに置くと、こう言った。

「弟です。それ以上でもそれ以下でもありません。弟です。」

また数秒の沈黙が流れた。そのころ、テントの前に人影が動き、入口がすっと開いた。

「ただいまー。落ち葉がこんなに掘れたよー。龍くん、露店主を獅子ひろと交代したんだって? 獅子ひろ、またがんばってねー。Lv100にもなったんだってねー。おめでとー。今度は2006初夢装備を取りそろえておいたから目立つよー。 あれ?ボクの椅子がない…。あ、なーんだ。狸ひろじゃんか。やぁ。さてと、椅子は今度作らないといけないなー。まずは、この落ち葉どうしようかなー。ホント出過ぎなんだよねー。あ、ボクもその紅茶ほしいなぁー。いい香りだねー。」

牛ひろが、帰ってきたなりいつもより口数多くしゃべるのは、掘り疲れの反動なのかもしれない。いや、それより、狸ひろを見てもごく普通に対応しているのだから、牛ひろも狸ひろのことを知っていたようだということに注意を向けるべきだろうか、それとも、空気が読めない牛ひろの行動にあきれるほうがいいのだろうか。

「おい牛! こいつ誰なんだよ! こいつのこと俺は初めて見たぞっ! おい!」

牛ひろはきょとんとした。あまりに当然すぎる質問を受けたときの反応といえばいいだろうか、その質問の意味がよくわからなかったのだが、しばらくして何を言いたいかわかったようで口を開いた。獅子ひろは、その答えに何かを期待した。

「弟だよ。」

普通に、ごくごく普通に口から出た言葉は、龍ひろがさっきから言っている答えと同じだった。獅子ひろの淡い期待は裏切られた。獅子ひろは、椅子にしゃがみ込んで、ふぅと一息ついた。

牛ひろが狸ひろに視線をやると、狸ひろはこくんと頷いて、「紅茶おかわりっ」と言った。龍ひろは、紅茶を入れてやった。

「弟になったんだ。正しく言うとね。だから、狸ひろは弟なんだ。」

再び牛ひろの口から出た言葉は、難解な古文のようで、獅子ひろが理解するのにちょっと時間がかかった。その脇で、龍ひろは「砂糖入れる?」と聞いている。

どうやら、この話はまだまだ続くらしいw(つづく)

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