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最終話・狸ひろ、ついに登場する

もうそろそろ最終話にしましょう。こんにちは。リアルひろです。

夕方からボウリング大会に出かけます。腰が悪いので大丈夫かなぁと心配…。

それでは、狸ひろ誕生秘話。いよいよラストです。


「だから、よろしくです。お兄ちゃん!」

そう言うと狸ひろは、いきなり獅子ひろに向かって突進した! そして、狸ひろが勢いよく飛びつくと、獅子ひろもろとも椅子の向こうに倒れ込んだ。

「うぉ…!」

びっくりしたのは獅子ひろだ。少しショックを覚えていて、やや斜め下をぼんやりと眺めていたものだから、突然飛びかかってこられて、まったく受け身がとれなかった。牛ひろがあわてて駆け寄った。龍ひろもテーブルの向こうで立ち上がって様子を見た。

背中から倒れた獅子ひろの上で、狸ひろがにこにこしながら抱きついている。


テーブルを囲んで、4人が座った。1つ椅子が足りないので、ファイアレム石の上に牛ひろが座った。あまり座り心地はよくないようだ。

「まぁ、隠しておくつもりじゃなかったんですけれど。」

龍ひろは、牛ひろの方をうかがいながら、獅子ひろに話しかけた。

「この狸ひろは弟として、面倒見てやってほしいんです。ちょっとショックだったかもしれませんが、これまで3人でやってきて協力しながらやってこれたじゃないですか。これからはそれが4人に増えるだけです。ねぇ、兄さん。」

「うんうん、そうだよ。ボクは何かあれば兄として何処へでも出かけていくし、龍くんは魔法使いとしてみんなの役に立つことをしてくれているし、獅子くんは、露店をしてくれて、それぞれできることをやってきたんだもんね。新しく兄弟が増えたって、それは変わらないよね。」

獅子ひろは、本当は自分は生まれてこなかったかもしれないというところに、ただ漠然と引っかかりを持っていた。いや、本当に俺は生まれてよかったんだろうか、と。自分の出生が喜ばれるものでないとしたら、誰しもショックを受けるだろう。

うち沈んだままの獅子ひろに、牛ひろと龍ひろにこれ以上かける言葉は思いつかなかった。あとは、行動で示すしかないのだろうか。時間がかかりそうだった。

「お兄ちゃん!」

いきなり、狸ひろはいつもの大声と同時に、獅子ひろの肩に手をのせた。というより、叩いたように見える。獅子ひろは、さっきのことがあるので、さすがに狸ひろの方を向いて目を合わせた。

にこにこしている狸ひろの目は、とても透明で、純粋だった。

「ボクはボクです。生まれ変わりじゃないですよ。だから、よろしくです。お兄ちゃん。」

獅子ひろは、その言葉で気がついた。「こいつだって、若くに亡くなった狸ひろの生まれ変わりだ何だっていわれ、その亡霊に苦しんでたんんじゃないか」と。しかし、自分の目の前にいる狸ひろは、自分をしっかりと持っていた。そう思うと、自分の考えの小ささに、腹が立った。そして、無性に恥ずかしくなった。

獅子ひろは、少しの間を開けて、こう言った。

「お、おう。な、なんでも言えよな。助けがいるんだったら、いつでも助けてやるよ。た、狸くん。」

牛ひろと龍ひろは、目で「よかったですね」と会話した。

「ありがとうです。おにいちゃーん!」

狸ひろは椅子から飛び上がって、獅子ひろに飛びついた。さっきと同じ行動だったが、獅子ひろは、きちんとそれを受け止めた。しかし、残念ながら、獅子ひろの椅子が2人の体重を受け止められず、ばきっという音と共に後ろへ倒れた。

牛ひろと龍ひろは、椅子から立ち上がり、テーブルの向こうへと消えた2人の姿を追った。やはりさきほどと同じく、背中から落ちた獅子ひろの上に、狸ひろはにこにこしながら抱きついていた。

「わかったから、もう飛びつくなよー!」

いつもの獅子ひろに戻ったようだ。こうして、ひろテントにまた一人、住人が増えた。

(終わり)

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